『自分が自分でいい』ということ

男子 母 (卒業文集より)

「俺、やめる」
 息子が、 公立高校の担任の前できっぱりと言い切った言葉です。息子流渡世術 (まあいいか)ではどうしても収まりきらないほど追い詰められての事だったのだと思います。そして、生野学園との出会いは、息子のこの言葉から始まりました。まさか、3年後息子も私もこんなすてきな友人ができ、すばらしい卒業式に出会えるなんて、想像もしていませんでした。

 心の変化は、見ようとしても見えるものではなく、殊にこうなってほしいという私の願いが邪魔をして、息子の今の想いに触れることがなかなかできずにいた1年目でした。学園のスタッフは、“信じて待つ”事をされているのだと頭では分かっていても、正直もどかしくもありました。2ヶ月に1度の親会は、スタッフの考えやわが子の様子を少しでも聞きたいという一心で、参加していました
 でも、2年目からは少し違っていました。もちろんスタッフに学校でのわが子の様子を伺うことも目的であることに変わりはありませんでしたが、生野の景色とおいしい空気、そして大切な友人に合うことが、ものすごく楽しみになっていたのです。そうすると、不思議に、息子のことがあまり気にならなくなりました。息子が一番ほっとしていたかもしれません。息子が少しずつ自分を出し始めたのもこのころからのように思います。

 「僕にはこの時間が必要だったと思う」
担任スタッフから、卒業前に息子が言っていたと聞いたとき、私の胸にずしんときました。自分の心に耳を傾けて、自分とゆっくり向き合う。そうしなければ、進みたくても、次に進めないことを息子自身が痛いほど感じていたのでしよう。その営みの中で、息子は自分が他者の役に立てることや、助けてもらっていいことを学んでいたのだと、感じます。そして、『自分が自分であっていい』と感じることができた学園生活だったと思います。

 人生に無駄な時間は、何一つない。息子を見ていて、本当にそう思います。どの経験も、次の自分を作り上げる大切な栄養素だと、教えられた気がしました。そして、これからも自分を作り上げる栄養素となる、経験を積んでいくことでしょう。私のうかがい知らない経験もたくさんすることでしょうけれど、この世に生まれてきたことの喜びを、たくさん感じることができる生き方をして欲しいと思います。
私は、応援団でいようと思っています。

 いつも変わらない温かさで包んでくださった、スタッフ・同期のお父さん・お母さん本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。そして、今後ともよろしく!
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