生野学園と出会って

男子 母 (卒業文集より)

中三の九月からパッタリと行動が停止してしまった息子が、生野学園と出会って動き始めたときの感動を、今も忘れられません。ホッとしたというのが本心。でもそれは、親の身勝手だったと思い知らされました。息子はかなり無理して学園に通っていたのでしよう。八ヶ月で息切れしてしまいました。
 私の本当の苦しみが始まったのは、それから。何がこの子をこんなに動けなくしているのか、どうすれば他の子たちのように動けるようになるのか…
 子供が動けなくなってしばらくは、親会へも足が向かなくなってしまいました。でも一年上の期の「子供が行けなくても親がこうやってせっせと通っているのよ」とおっしゃった方のことを思いましました。そして何より、今息子のことを一番に考えてくれている生野を大切にしないでどうするという思いに至りました。このとき、私の中で一つのハードルが越えられました。
 それ以降、親会には必ず参加すると心に決めました。そして、京口のカウンセリングにも通い始めました。そんな中で、考えさせられたこと、気づかされたことが、たくさんあります。
 考えるべきは自分でした。家庭の中は地獄そのものでした。とにかく、私自身が息の詰まるような毎日。苦しくて心がパンクしてしまいそうな状態でした。たまらない思いの中で、子供の前でも不満ばかり言っている自分がいました。こんな家庭の状況で、子供がうまくいく訳ありません。
 渡辺和子先生(ノートルダム清心学園)の親会講演会での「不機嫌は環境破壊」と言う言葉にハッとさせられました。不満ばかりブツブツ言う母親から脱却しなければ…と気づかされました。
 そうは思っても、なかなか心はついてきてくれません。でも、親会やカウンセリングに何度も足を運ぶうちに、次第に、不満そのものでしかなかった夫のことが、だんだん受け入れられるようになってきました。何をされても、腹が立たなくなってきたのは不思議です。今は、穏やかに時を待とうという気持ちになっています。私自身まだ寂しい思いはありますが、あきらめたら終わりですから、気長に構えて待ちたいと思います。
 息子がいつ動き出せるようになるかは、全く分からない状況です。でも、生野と出会えたことで、私自身の心が穏やかになったような気がします。不満ばかり言う苦しさから、少しは抜けられたような…。
 卒業しても尚、生野を大切にしたい気持ちは続きますまだまだリラックスして過ごせる家庭には程遠く、苦しい日は続くと思います。でも、あきらめないで、気持ちを明るく持って、暮らしたい。夫や子ども達と笑い合って暮らせる日を夢見て…
 私の気持ちを変えてくれた生野学園。素晴らしい出会いを作ってくださったスタッフの皆さん、親会の皆さま、本当に有難うございました。息子にとっても、生野は心の拠り所だと思います。
 これからも、よろしくお願いしますね。
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