日本子どもの未来研究所
平成13年10月に、子どもの問題の未来に向けての回答を追求する研究所を開設しました。 一般の人を対象とした「子どもの未来セミナー」や 「養護教諭のための精神保健講座」(事例検討を中心とした2泊3日の宿泊研修)などの研修会を開催し、 21世紀の子どもたちの輝ける未来に向け活動しています。
第22回子どもの未来セミナー「子どもの育ち」が開催されました

2010年が明けて間もなくの1月9日(土)、兵庫県立歴史博物館で、『子どもの育ち こども環境から見た安全と危険の意味論』と題して、
をお招きし、ご講演いただきました。当日、会場には、約50名の参加者の皆さまが足をお運びくださいました。
安全ばかり求めて、危険から遠ざけることによって余計危険になっているという子どもの暮らし というものを研究しておられる先生のお話しから、子どもの育ち、危険・安全について学ぶ機会となりました。
まず、環境という言葉についてのご説明がありました。環境という言葉の定義は様々にあり、我々の理解のために定義されているのであって、環境が分かれて存在しているのではなく、皆関連し合っているということでした。先生の定義では、「何かと影響関係を持ち得るような条件、それが環境である。」となります。
そして、講義は、こども環境における、
- 住環境の問題として高層マンション
- 生物環境の問題として感染症や食中毒
- 社会環境の問題としてのいじめ
こども環境の特性は、子どもは常に発達しているという時間的因子がある、環境への適応力が未熟である、心身両面に影響が及ぶ、遊び、自然といったキーワードが挙げられました。子どもの安全と危険を論じるにあたってのコンセプトは、子どもは成長する動的な存在であるため、子どもにとって今日の危険と安全がもう明日明後日の危険と安全と違っているということ、また、安全の中に危険があり危険の中に安全がある、安全と危険は表裏一体であると強調されていました。

特に、高層マンションでの子育てが先生の一つの大きな研究のテーマでありますが、今の日本では、住環境(高層階/低層階、分譲/賃貸)や家庭環境(親の価値観/経済状況)が行動パターンや社会環境(いじめ/交友関係)に影響を与え、子どもの育ちにも大きな影響を与えているというご自身の研究結果をお話しくださいました。子どもの、まともなふつうの当たり前の育ちには、今の日本には何かが欠けているという提起をいただいた週末の午後でした。
織田正昭
1975年東大医学部卒業(専門は免疫微生物学、母子保健学)。百日咳ワクチンの発明者。
米国FDA研究官、GeorgeWashington大学客員教授、WHO百日咳会議議長などを務めて帰国。
山梨医大を経て、1988年より東大大学院発達医学/母子保健学教授。
多くの国際活動を行なうかたわら、 国内ではこども環境学会副会長を務める。
一般向けの書物として
「難病必携」「母子の健康科学」「小児保健学(胎児の健康)」
「高層マンション〜子育ての危険」などがある。